漫画なの?漫画じゃないの?どっちなの? どっちでもない!

□THE 密室からの脱出パロ
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―学校帰り、土方は何者かに襲われた。

背後からだったので、誰の仕業かも分からなかった。

そのまま、気を失ってしまった。


消失


「…ン…」
気がつくと、薄暗い部屋。
「…ここどこだ…ってえぇぇぇぇ!!?」
の、檻の中。
(ち、ちょっと待て、いったい何が…)
少し頭を整理する。すると全て思い出した。
「…そうか、俺…誰かに後ろから襲われて…」
情けないもんだ、と自らを少し嗤う。
「…っとそうだった…とにかくここから逃げねぇと…」
そう思ったが、扉には南京錠が掛かっている。
なにか開けられるものが落ちてないか、そう思って辺りを見回す…と…
「!! 高杉!?」
隣にもうひとつある檻の中。ぶっ倒れているクラスメイト兼幼馴染み。
「高杉!!おい!!」
「…ん…?」
目を覚ました。
「…良かった…」
「…誰だテメェ…」
「…は?」
高杉の口から出た言葉に耳を疑った。
幼馴染みに対して誰だとはどういう事だ。
「ま…まさか記憶喪し…」
「…あー…とうとう俺天国まで来ちまったのかー…」
「…はい?おま…何言って…」
「カワイイ天使さんがお迎えたァ…神さんも粋なことしてくれんじゃねぇの…」
「…」

―バキっ

「…誰が天使だコラ…」
「…いってぇ…って土方!?」
「漸く気付いたか」
どうやら一時的な混乱だったらしい。
「…てことはなにか?俺生きてんのか」
「当たり前なこと聞くな」
高杉もまた辺りを見回し、現状を把握した。
「…あァ、あれからずっと寝てたのか…俺」
至って涼しげに檻を眺めている。

「つかなんでお前まで捕まってんだよ…」
「…」
「テメェいつもの喧嘩の腕はどうした」
もっとも、人の事を言えた義理でもないが。
「んな事言われてもよ…道端でぶっ倒れてる
お前を起こしてる最中に後ろから殴られて…」
「気付かなかったのか?」
「お前の無事確かめるのに必死だったんだよ。悪いか」
「……ごめん」
そう言われると反論できなくなる。
―それに、こっちが悪いように思えてくる。
「…アレ?」
「ん」
「…ってことは何?お前俺の後ろにずっといたワケ?」
「あぁ…ヅラの阿呆に買い物付き合わされてな。別れた後お前を見かけたもんだったから」
「俺を襲った奴の顔、覚えてるか!?」
それさえ分かれば即刻見つけ出して責任を取らせるところ…だったが。
「分かるかよ。夜遅かったから道は暗かったし黒ずくめだったし…
お前を襲ったあと何でかしらねぇけど居なくなっちまったし…」
「…いなくなった?」
「俺の存在にも気付いてたんだろ。まとめて拉致られたってとこだな」
「…にしたってなんで…」
こんな高校生、誰が一体誘拐したがるのだろう。
「最近は無差別犯罪も多いし、高校生だったら金もある程度持ってんだろ」
「…けど…」
財布は無事だった。手を付けられた様子もない。

「…あとは、コイツかもな」
「! …あ…」
高杉の胸元に彫られた、鮮血の色をした刺青。
土方もまた、同じようなところに同じような刺青があった。
「俺等にかけられた、いわば呪いのようなもんだ。
いらねぇもんまで寄せつけてくれるらしいな」
「……」

―呪われた、紋に魅入られた俺達―

「あー面倒くせぇなぁ…こいつのお陰でロクな目に会った記憶がねェ」
「…まぁな」
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