treasure
□危険な遊び
5ページ/10ページ
時間帯が変わる事もなく、かといって進展もないままの状況が暫く続き、3人の顔には疲労の色が滲む。そして、笑顔もすっかりと消え明らかに不機嫌さを露にし始めたブラッドとボリス。
「さて、どうしたものか……いい加減邪魔、だな。」
「同感、そろそろ諦めてもいいのにさ、しつこいよ。」
「本当よ、早く時間帯変わってくれないかしら……」
「………」
「………」
「っ!?………ブラッド?ボリス?」
不意に道の真ん中で立ち止まった2人の間には、先程までの穏やかな空気は何処へやら、明らかなる敵意が表れた。
「イライラする……」
ブラッドは右側。
「イライラする……」
ボリスは左側。
「ちょっと、どうしたの……早く逃げましょう?」
アリスは真ん中。
睨み合う2人に挟まれて、アリスは動く事が出来ない。それに気付いた鬼となったブラッドの部下たちが、アリスを捕まえようと周りに集まってきたが、その迫力に圧され彼らもまた、ただ動く事も出来ず成り行きを見守るしかなかった。
「ブラッドさん、紳士なんだし遠慮したら?」
「君こそ、歓迎されざる客人として遠慮してはどうだ?」
「えー、客人は遠慮しなくていいんじゃないの?ズルいよなぁ、滞在してるってだけで、もうソッチが有利なのに。譲ってよ?」
「ズルくて結構、私はマフィアだ。それに、今尚ここに滞在しているという事は、アリスが私を選んだ証拠、そう思わないか?」
「……あの〜…」
ブラッドとボリスの会話を聞いていたアリスの脳裏に、嫌な考えが浮かぶ。
もしかして
もしかして……
「あーっ、アリス!やっと見つけ――」
『お姉さんっ!やっと見つけ――』
そこへ騒ぎを聞き付けたエリオットと双子が現れ、アリスに向かい走りだす。
「……ヤレヤレ、面倒なのが来たな。仕方ない、決着の方法と場所を変えよう。」
「……いいよ、分かった。独り占めじゃなくて残念だけど、誰かに独り占めされるなら2人でもいっか。」
それを見た2人は、チッと舌打ちをすると顔を見合わせ、渋々頷き合い懐に手を忍ばせながらアリスと繋いだ手を離す。
そして……