treasure
□危険な遊び
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「いいかい、お嬢さん。今から私たちは手を離すが、騒いではいけないよ?」
ブラッドがそう言いながらボリスに合図を送ると、ボリスは合図を送り返してアリスの口から手を離す。次いでブラッドも手を離すと、ポケットからハンカチを取り出しアリスに手渡した。
「さすがはブラッドさん、紳士だね。ほら、アリス?ぼーっとしてないで、ハンカチ借りて汚れ落としなよ。」
まるで争う気配もなく、事もあろうか仲の良い友達みたいな2人の姿に
「……ブラッド、ボリス、気持ち悪いわ。」
アリスは思わず本音を漏らした。
「気持ち悪かろうが悪くなかろうが、今はそんな場合じゃないんだよ。」
「そうそう、なんとしてでも、双子や他の奴からアンタを守んないといけないんだからさ。」
受け取ったハンカチを使いアリスが服や顔に付いた汚れを拭いていると、2人は気を遣ったのか腰に回していた手を離して、真剣な表情でそれを見ていた。
「……ホント、スッゴく気持ち悪いけど、確かに捕まりたくないわ……2人とも、ありがとう。」
どうしようもなく違和感があるし信じられない事だが、それが目の前で起こっている。
「いいって、どーせ俺もブラッドさんも、同じ事考えてるんだし。」
「それなら一緒にいるべきだ、という結論に達しただけさ。礼を言われる事じゃあない。」
この危険な状況でワガママは言っていられない。それに、今の状態は自分にとって都合が良く決して居心地が悪い訳ではない。
アリスはとりあえず『今は』無害らしい2人を頼り、行動を共にする事を了承した。
そもそも何が起こっているのか?と言うと、きっかけはアリスとブラッドにあった。