treasure

□危険な遊び
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苦しい
苦しい
痛い
痛い

それでも何故か

温かく
柔らかく
安心する
幸せになる



「あれ、いないよ?」

「おかしいなぁ、ここであってる筈なのに。」

「もう少し向こうかもしれないよ、兄弟。」

「そうだね、行ってみよう!」


弾む声と金属音が遠ざかり、アリスはホッとし息を吐く、つもりだったが……

「んー、んんーっ!」

その口は2人の手によりしっかり塞がれていて、残念ながらそれは出来ず、ホッとしてはいけないのだと、今更ながら再確認した。

「シッ、静かにするんだ、お嬢さん……」

右からはダルそうな男の声。

「アイツら結構勘が鋭いから、静かにしないと見つかるぜ?」

左からは楽しそうな男の声。

アリスが視線をそれぞれに向けると、右側ではブラッド=デュプレが、左側ではボリス=エレイが、それぞれ片手をアリスの腰に回し体を密着させ、片手で口を塞いでいる。


『なにしてるの!離してよ!』

アリスはそう心で叫び2人をキツく睨む。しかし、顔は赤く染まっているから睨むと言うには可愛らしい眼差しで、威圧感もなにもありはしない。それを証拠に2人とも、ククッと声を漏らしながら苦しそう

双子に捕まらなかったのは嬉しいが、この2人に捕まるのはまた別の意味で避けたかった。
何しろ、アリスにとって2人は、最も敬遠している『恋愛』に発展してしまいそうな程親密な相手だった。

どちらか一方なんて決められない、出来れば今のまま3人付かず離れずが良い、そんな曖昧でズルいアリスの気持ちを、2人は良く知っている。
そんな2人だからこそ、顔をあわせれば逃げたくなるようなオーラを纏い、アリスを責めるような会話を繰り広げる事を、アリスは良く知っている。

きっとこれから、2人は自分の事をネタに言い争いを始めるに違いない……もしかしたら、撃ち合いになるかもしれない!
そんな事を考えながら、アリスの顔色が赤から青に変わると、ブラッドとボリスは互いに顔を見合わせ、意外な事に友好的な笑顔を浮かべた。
 
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