図書館保管庫

□四角い画面に映る君。
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結局その後に森を見かける事はなかった。
帰りのバスの中、退屈しのぎに携帯の画像フォルダを開けて…。

オレの画像フォルダには何故か森の笑った横顔の画像が入ってた。

もしかして声かけられて驚いた拍子に撮ってた!?
…これ、森に知られたら絶対に盗撮と思われるよな。

でも森の顔、すっげえ可愛い。

「植木、何ニヤけてんの?」
「え?」

やばい、いつの間にニヤついてんだオレは。
なんか別の話題振らないと。

「な、なんでもねーよ。そういう森は何で補助席にいるんだ」

さっき別の女子が座ってたろそこ。

「気持ち悪くなったから替わってって言われたの」

嘘だろそいつ、さっきから森の座ってた席でニヤニヤしてこっち見てんだけど!
謀ったな、お前絶対謀ったよな…てなんかバロンみたいな反応になってるし。
そもそも森はなんで気付かなかったんだ…。

「で、話戻すけどなんでニヤけてたの?」

やっぱり忘れてなかったか、というか今さっきの事だもんな!

「えっと…面白い画像あったから?」

「から?ってなんで疑問形なのよ。そんなに面白いんなら私にも見せなさいよー」

しまった、完全に墓穴だコレ。
とにかく探せばあるはずだ、探せば…


「隙あり!」


………あれ?携帯は?




…ちょ、森、その右手に持ってるのは?


「森、オレの携帯返せよ!」
「その画像見たら返すわよ!」

言っとくけど面白い画像なんてコバセンの酔っ払い姿とか佐野の鼻眼鏡くらいだからな!

それ以前に今オレの携帯に映ってるのは…


「ど、どういう事なのよコレは!」


やっぱりバレた、しかも盗撮したと誤解されてるし!

「ごめん、でもそれわざとじゃないんだ!偶然なんだよ!」
「偶然にしてはありえないくらい良いベストショットなんだけど?」
「だーかーらー、違うって言ってんだろ!」

ここから3回位同じ事を説明してやっと納得してもらえた。
あまりに何回も必死に説明されて疑う気も失せたとか。
携帯は、今回は許してあげるけど次やったら確信犯と思うから…と言われて返されたけどまだ怒ってるな。
さてもう画像は消されたかとフォルダをいじってみる。
やっぱ消されてる…と思ったらなんでか消されてない?

「森、画像残ってるぞ?いいのか?」
「消してまた撮られてもかなわないしその時変な顔だったらどうするのよ、だからそれは植木にあげる」

いいんだ…。
げ、森と席替わった女子こっち見て笑ってやがる。
もしかしてずっと聞かれてた…?

…まあどうでもいい。
誤解が解けたらそれでよかったし安心したからか凄い眠い。
意識がぼんやりしてきて…寝た。





パシャッ

「ふぇっ!?」

オレが目を覚ますと携帯をこちらに向けて固まってる森が。
さて、これからどうしようか…と思ってたら前の方からオレと森を呼ぶコバセンの声が。

「コバセン、なんか呼んだ?」




「お前らさ…イチャつくのはいいが乗客全員に聞こえてるぞ?」




End
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