図書館保管庫

□知ったその先に
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公園の掃除を終えた時の事だ。

「森の事、最初は普通のクラスメートと思ってたんだ」

「え、普通のクラスメートじゃなかったら何なのよ」

私はアンタの事宇宙人だと思ってたけど、とも付け足された。
うるせーな、オレはにんげ…天界人か、と思わず一人ボケツッコミ。

それはいいとして。

「中1の時、お前が能力者バトルに巻き込まれてからいつの間にか友達のように思えてきたんだ」

前より彼女と話す時間も、一緒にいる時間も、沢山増えたから。
あと、彼女の事を沢山知ったから。笑った顔、泣いた顔。
いつも皆を元気付けて、心配して。

「当たり前じゃない。私もあの時、植木の事沢山知ったよ?」

もうちょっと自分の体を大事にしろといつも言ってるよな。
何回も言ってくれるのにゴメン、特にお前のためなら守れそうにない約束だから。
守れないのにオレは好きなものがある。

「オレは、お前の事沢山知ったけど、知った中で1番好きなのはお前の笑顔だな」

太陽みたいにあったかくて優しいし、何より見てて心地よくなる。
なんか、顔だけ?とか言われそうだな。そういう訳じゃないんだよ。

「もちろん顔だけじゃない。いつもオレの事を心配してくれるお前自身が好きだから」

彼女の顔が湯気でも出そうなくらい真っ赤だ。
オレだって話してる途中から真っ赤になってると思う。
ホントの事を言うと、オレは今ちゃんと話せてるか分からない。
もしかしたら途中ぼそぼそ言ってて彼女は聞き取れてなかったかもしれない。
オレから目を反らして彼女は言った。私だってアンタはいつも無表情だと思ってた、と。

「でも植木も色んな表情するよね。よく見たら違うって今なら分かるの」

そんなにオレって無表情かよ。
ムスッとしたオレに彼女はこう付け足した。

「私もアンタの色んな顔知ってるけど、笑ってる顔が1番好き」

その言葉だけでも十分嬉しいよ。
さっきからにやけっ放しなんだろうな、単純なオレは。

「約束守れないのは納得いかないけど、もちろん私の事を考えて無茶するアンタも好き」

もうこのまま抱きしめてしまいたい。
でもまだ言いたい事があるんだ。

「オレは初めて気付いた時は怖くて言い出せなかったんだ」

お前に嫌われるのは絶対にイヤだったから、ずっと押し込めようとしていた。
でもバトルが終わって、それから色々あって。
メガサイトで100年過ごしてからもずっと後になってようやく気付いた。
普段の様に呆れられるかと思ったけど、彼女は真剣に聞いてくれてる。
言いたい事は次で最後だよ。

「好きだ。森とずっと一緒にいたい」


END
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