図書館保管庫
□さよならじゃなくて
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森と歩く帰り道は凄く楽しい。
だけどオレ一人になるまであと30m、10m…。
「じゃあね、植木。」
森は何事もなかった様に帰路に着こうとする。
これでも付き合ってんのに…寂しいな。
もうちょっと名残惜しいとか思ったりするのはオレだけなのかな。
「なんか、さよならってヤだな。」
「え?」
あ、絶対今何言ってんのって顔された。
さよならが嫌って意味不明だよな。
「なんかさ、さよならって寂しくねーか?」
「寂しいに決まってるじゃない、でもしょうがないでしょ?」
寂しいとは思ってたのかよ。森と同じ事思ってちょっと嬉しいと考えたオレは変だけど。
分かってるよ、自分が重症だって事くらい。
「しょうがないけどさ、さよならってもう会えないみたいに聞こえる」
森から別れの言葉がさよならじゃなきゃ何て言えばいいのよと言われた。
それもそうだよな、何も考えてなかったとか言ったら怒られたけど。
「またね」
森から一言そう呟いた。
そうだよな、オレ達はまた会えるから。今まで何があっても再会してきた。
だから今も一緒にいられる。
「ああ…またな」
END