黒月館殺人事件

□第三章
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「では、問題の最初の事件に戻りましょうか。この事件で問題になるのはやはり殺人予告の紙です。この紙があったから、みんな充さんが必然的に殺されたと考えた。……そして、充さんにコーヒーを持ってきた雅が犯人だと………」
 僕はそこまで言うと、ちょうど雅の所で立ち止まり、安全の為に警察の方が入れてくれたコーヒーを指さす。
「……でも、実はこのコーヒーがキーポイントの一つなんですよ」
「どういうことだ?」
 今まで黙っていた笹本警部が口を挟む。
 僕は雅の所から離れると、にっこりと笑った。
「まぁまぁ。このキーポイントを話す前に一番大事な所を話しましょう。一番重要なキーポイントは言わずもがな、殺人予告が書かれた紙です。……さて、充さんがこの紙を事前に受け取っていたのを前提で昨日のことを振り返ってみましょう」
 そう言ってから、僕は翔さんに話しかけた。
「……ところで、翔さん。あなたと充さんは雅の名前を聞いた時にすごく反応してましたが、あれはかつて充さんにリストラされ、自殺した人物の娘だと気づいたからなんじゃないですか?」
 僕がそう尋ねると、翔さんは苦々しく頷いた。
 思っていた通りの答えが返ってきたことに満足した僕は今度は笹本警部に話しかける。
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