黒月館殺人事件

□第三章
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「……お父さんの癖?」
「うん。例えば、仕事とかで貰ったりする名刺とかってどこにしまったりするかな?」
 僕は笹本警部と別れた後、すぐさま月ノ瀬さんに会いに彼女の部屋にやってきた。
 月ノ瀬さんはちょうど部屋にいたので話を聞くことができた。
 月ノ瀬さんに部屋の中へ案内されると、椅子に腰掛ける。
 向かい側に月ノ瀬さんも座ると、先程の僕の質問に答えてくれた。
「……うーん、名刺とかは分からないけど、受け取った紙なんかはよく胸ポケットに入れてたと思ったけど………」
 思っていた通りの言葉が返ってきたことによって、僕の仮説は完全に証明された。
「そっか………ありがとう、月ノ瀬さん」
 僕が礼を述べると、今度は月ノ瀬さんが遠慮がちに尋ねる。
「あの、それが事件と何か関係があるんですか?」
 真剣な目で見てくる月ノ瀬さんに僕は笑って答える。
「……事件とは直接関係ないんだけどね、実は新たに充さんの胸ポケットから紙が出てきたんだ」
 僕がそう言うと、月ノ瀬さんは張り詰めていた表情を崩した。
 そして、僕の方もこれから雅の無実を証明できることを心から喜んだ。
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