黒月館殺人事件

□第二章
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「今回の事件に関わった連中を俺は調べてみたが、あるおもしろいことが分かったんだよ。……それはなぁ、来沢雅の父親が働いていた会社の社長が月ノ瀬充だったんだよっ!!」
「!?」
「……つまり、月ノ瀬充は彼女の父親を自殺に追いやった人物ってことだ」
 不適に笹本警部は笑ってみせるが、しかし今の僕の目にはもう笹本警部など映ってなどいなかった。
 僕が茫然としていると、横から声が聞こえてきた。
「待ってくださいっ!!……あたしは父が働いていた会社のことなんて知りませんでした!」
 悲痛そうに叫んだのは雅であった。
 僕はその声にはっと我に返る。
 きっと、雅だって初めてその事実を知って驚いてるはずなのに、何で僕の方が驚いてるんだよ。
 僕は自分にそう叱ると、きっ、と睨み付けるように笹本警部を再び見た。
「……確かに、あんたはそのことを知らなかったかもしれない。だがな、それを一体誰が証明するんだ?復讐の為に、月ノ瀬充の娘である月ノ瀬瑠依に近づいた可能性だってある――――」
「雅ちゃんはそんなことしませんっ!!」
 声のした方を振り返ってみると、そこには先程まで父親の死にショックを受けていた月ノ瀬さんがいた。
 彼女は真っ直ぐに笹本警部を睨んでいる。
 だが、笹本警部は特に気にした様子もなかった。
「俺は可能性を言ったまでですよ。……まぁ、ほぼ99%当たっているでしょうけどね」
 嫌味な笑みを浮かべると、笹本警部は食堂から出て行った。
 おそらく、どこかの部屋で捜査会議でもするんじゃないかな?
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