黒月館殺人事件

□第二章
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 雅の次に祥太さん、その次に愛子さん、そして翔さん、月ノ瀬さんの順番でそれぞれ取り調べを受けた。
 取り調べの時間は全員、僕と同じかちょっと長かったくらいの時間だった。
 全員の取り調べが終わって三十分くらい経った時、笹本警部がまた食堂にやってきた。
「えー、取り調べも鑑識も終わったので、とりあえずご報告します」
 そうぶっきらぼうに話を切り出すと、笹本警部は充さんの死亡原因を報告する。
「月ノ瀬充の死亡原因は青酸カリによる毒殺で間違いないそうだ。……そして、その青酸カリは月ノ瀬充のコーヒーの中に入っていたことも確認した」
「……まぁ、砂糖とかミルクに入ってたら僕速攻で死んでますよ」
 僕が軽い冗談を言ったら笹本警部に思いっきり睨まれた。
 あらら、これじゃあ冗談も言いにくいって。
 僕が苦笑するのを笹本警部は無視して、懐からある物を取り出した。
 それはいわゆる証拠品というやつなのだが、それを見た時、僕は思わず絶句する。
「っ………!?」
「……何だ?お前、これを知ってんのか?」
 笹本警部がにやりと意地悪な笑みを浮かべた。
 僕はそんな笹本警部を無視して、彼の持っている証拠品―――四つ折りに畳まれた紙を凝視する。
「それ、どこにあったんですか?」
「あぁ?これはなぁ、被害者、月ノ瀬充のポケットの中から発見されたんだよ」
 それを聞いた瞬間、僕は雅達がコーヒーを入れている間の出来事を思い出した。
 あの時は充さんの反応があまりにも不自然だったから不思議に思ったものの、しかし四つ折りに畳まれた紙について聞くことができなかった。
 今、これが証拠品として出てきたということは何かしら意味があるということだ。
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