黒月館殺人事件

□第二章
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 僕は笹本警部ともう一人の刑事によって、空いている部屋で取り調べを受けることになった。
 まずは自己紹介をする。
「僕は桐生冬夜。咲野田高校、二年生。年はまだぴっちぴっちの十七歳。どうぞ、以後お見知りおきを」
 この場の雰囲気を明るくしようと戯言を混ぜながら自己紹介した僕だったが、なぜか警部さんの顔がイライラしているように見える。
 そして、自己紹介が終わるや否や即決断された。
「……お前が犯人で決定だな」
「えぇっ!?いやいや、何でですか?僕、どこかおかしかったですか?」
 慌ててそう尋ねると、笹本警部は煙草を一服吸ってから答える。
「殺人が起こったのに冗談を言ってるからだ」
「僕はただ、こういう時こそ場を盛り上げようと………」
「しなくていい。だから、犯人にされたくなかったら、とっととこの家にやってきた理由とか喋ろ」
 何で、警部だからってここまでひどいこと言われなくちゃいけないんだ。
 てゆうか、この人ただやる気ないだけだろっ!?
 ……これだから、若い警部は。
 まぁ、心の中で文句を言ってても仕方がないので諦めて最初から話した。
 僕がここに来た理由なんかは前にも書いたので、ここでは省略―――現実でも省略できたらいいのに―――しておく。
 ちなみに、事件が起こった前後のことも一応説明しておいた。もちろん、大雑把にだが。
 話をして十分か、それよりちょっとかかったくらいの時間で僕の取り調べは終わった。
 僕は笹本警部に雅を連れてくるように言われると、部屋を出ていき、食堂に戻って雅に笹本警部の言葉を伝えた。
 すると、雅は弱々しくではあったが頷くと、食堂を出て行った。
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