黒月館殺人事件

□第三章
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「……さて、何から始めようかな?」
 真犯人を探すため、僕は朝早くから行動を開始することにした。
 だが、何からやればいいのか全く見当もつかず、途方に暮れてしまう。
「おいおい、こんな所で躓いてたら一生犯人なんか捕まえられねぇぞ」
 びっくりして声のした方を振り向いてみれば、そこには笹本警部がいた。
「……笹本警部、どうしてここに?」
「面白そうだからな。お前に協力してやろうと思って」
 そう言って、にやりと笑う笹本警部。
 僕は一瞬呆気にとられたが、すぐににやりと笑う。
「そんな理由で一般人に、しかも犯人の可能性がある雅の恋人に協力してもいいんですか?」
「俺は真実が知りたいだけだ。細かいことはどーだっていいんだよ」
 僕はその一言で、この笹本警部のことを見直した。
 僕の彼に対する第一印象はただの嫌味な警部だったのに。
 警部である彼に協力してもらうのは願ってもないことだった。
 僕一人で何かしたって、何も見つからないことの方が大きいからだ。
 だから、素直に笹本警部の協力を受け入れた。
「僕が真実に辿り着けるかどうかは笹本警部の協力次第ですよ」
「吐かせっ!」
 僕が冗談を言うと、笹本警部は煙草を吸ってから笑いながらそう答えた。
 僕は笹本警部の反応にひとしきり笑った後、真面目な顔をして話を本題に移す。
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