Short Story

□カナタ
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中途半端が、一番苦しいと思った。

捨てネコのような惨めな思いのまま、美那子の時間は過ぎてゆく。


快斗からは相変わらず何の連絡も無かった。最初は半ば一方的にコンタクトを計ろうとした美那子だったが、もうそんな気も起きなくなった。
メールも送らない。駅前で待ったりもしない。快斗の身に何かあったのではと無駄に神経を擦り減らすようなことも全くしなくなった。


“自然消滅”と育美に説明した。快斗は自然消滅を狙っている。自分は捨てられたのだと。

育美は納得がいかない様子だったが、美那子はそんな意見を聞く気は無かった。
自分が一番快斗を知っているという自信があった。育美の慰めなど聞きたくなかった。「信じたくない」と叫ぶ中で諦めている自分がいることも、もうずっと前に気付いていた。



空が暗くなるのが早くなった頃から、快斗が遠くなっていった。



快斗は今何をしているだろうか。
快斗のことだから、イベント返上で勉強しているのだろうか。
クリスマスと騒ぎだす街中を見て少しは美那子を思い出してくれているだろうか。
恋人だった美那子を、忘れないでいてくれるのだろうか。



バスの隣に座った高校生からやけに香水の匂いがして、美那子は気持ち悪くなった。



もう、快斗の匂いもわからなくなってしまった気がした。







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