ハガレン+その他

□平和な日常
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あれは、僕達がまだ学校へ行っていた頃の話。
あの頃は、一分一秒も大切で、掃除に使う時間も勿体ないくらいだった。

掃除当番

掃除の時間。
「くぉらエルリック兄弟ー!掃除をサボるなーっ!」
ウィンリィの怒号が、学校中に響き渡る。
一方、怒られた方…エルリック兄弟は、錬金術の会話に没頭し過ぎてまるで聞こえていない。
そんな二人の…兄・エドワードの背後に、怒りに震えたウィンリィが立っていた。
その手には、スパナが握られている。
スパナが、陽光を浴びてキラリと光った。
…直後、痛々しい悲鳴が周囲に響き渡った。
「兄さん!!?」
心配して声をかけたアルの視線の先には、頭に立派なたんこぶをこしらえたエドがいた。
「いってぇな!ウィンリィ!てめぇ、殺す気か!」
たんこぶを押さえて叫ぶエドは、涙目になっていた。
「うるさい!掃除サボるあんたが悪いんでしょ!?」
「だからってスパナで殴らなくてもいいだろ!?」
ウィンリィの言うことはある意味正論だが、エドは納得出来ない。
「つべこべ言ってないで、さっさと掃除しにいくわよ!」
ウィンリィは、有無を言わさず先を歩く。
すぐについて来ないエドを見て、ウィンリィは呟いた。
「あんまりもたもたしてると…わかるわね?」
そして、エドの目の前にスパナを翳した。
「………!」
エドは言葉を失った。
「兄さん…!」
アルは、不安そうにエドを見つめた。
エルリック兄弟は、素直に従うしかなかった。

掃除しながら、エドがぼやく。
「…ったく、さっさと帰って研究してぇのに…」
ウィンリィは鋭い視線を向ける。
「…何か言った?」
視線を向けられたエドに戦慄が走った。
あまりの恐怖に、思わず姿勢を正す。
「いえ、何も…」
エルリック兄弟は結局、掃除をやり遂げるまで帰らせてもらえなかった。
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