パラレル

□決別
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本邸に招かれてからしばらくして、私と隼人は別荘に帰った。
そして、あの屋敷で決めたことを実行に移す。
「隼人」
私の呼び掛けに、彼はいつものように振り返る。
私は、意を決して言葉を投げた。
「この屋敷から…出て行って」
隼人は、信じられないとでも言いたそうな表情で私を見つめた。
「今、何て…?」
「この屋敷から出て行ってほしいって言ったの」
私はあっさりと答えた。
「何でそんなこと…!?」
正直、胸が痛んだ。
隼人が、今にも泣きそうな表情をするから。
だけど、そんなことは表に出さない。
感情を隠す訓練は、嫌ってほどして来た。
それが、こんなところで役に立つとは思わなかったけど。
私は、淡々と答える。
「もう、一緒に居たくないから」
「そん、な…」
彼は相当なショックを受けたようだ。
半ば放心状態の彼に対し、私は努めて冷たい言葉を投げる。
「住むところは用意してあるから、さっさと支度して…早く出て行ってね」
未だ放心状態の彼を残し、私は自室に引き上げる。
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