MARIA
□明日は晴天
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俺と祐巳は2人でテレビを見ていた。
ニュースが天気予報に変わる。
明日の日曜日は晴天。
お出かけ日よりだそうだ。
これを台所にいた母さんが聞いていて、父さんに「デートしましょうよ♪」なんて話しかけている。
「たまにはいいなぁ!」と行く気になってる父さん。
相変わらず仲の良い夫婦だ。
「ねぇ、祐麒。」
隣でテレビの画面に目を向けたまま、祐巳が話しかけてきた。
「ん?何?」
「あのさ、明日って暇?」
「・・あぁ・・・まぁ。」
くるりとこっちを見た祐巳。
「じゃあ、明日私と出かけない?」
「・・・えっ。」
「なによ、イヤなの?私と出かけるの」そう言ってふくれる祐巳。
祐巳と出かけるのがイヤなわけない。ただ・・
「俺とじゃなくて、祥子さんとか由乃さんとか誘わなくていいの?」
「なんで今、お姉さまや由乃さんが出てくるのよ。私は祐麒に言ってるの。」
「・・・・。」
結構・・いやかなり嬉しい。
いつだって祥子さんに勝てない俺が・・。
「それに秋物の服をたくさん買いたいから、荷物もってもらおうと思ったの。」
「あー・・・。」
結局そういうオチなのか俺は。
でも、ま。
デートには変わりない・・・よな?
「いいよ、俺明日は用ないし。」
「そお?じゃ、9時に出発するからねっ!寝坊しないでよっ。」
「分かってるって。」
俺の前だけではワガママで気まぐれな君。
俺にだけ見せる顔。
俺の返事を聞いて喜ぶ祐巳の顔を見て、やっぱり素直に嬉しく思う。
明日はとことんつき合ってやろう。
祐巳のワガママと
晴天の空に。