落乱

□春風がすぐそこに
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「あったかーいねぇー!へーすけくんっ。」

火薬庫の整理も終わり、タカ丸と兵助は庭を歩いていた。


「あぁ、少し熱いくらいだ。」

春の陽気と花の香り


そして風なびく長くて黒い髪


「ねぇ、へーすけくん。ここで休憩して行かない?」

そこは大きな桜の木の下


「・・・、少しだけなら。」


「やった!」


はしゃぎながら木に腰掛けるタカ丸


「おいでー、へーすけくん。」


そう言ってタカ丸はあぐらをかいた自分の膝を
叩いた。

そこに座れということだろう。


返事を返す前に兵助は腕を引っ張られ
強制的にタカ丸の膝に座らせられた。


「ん〜♪兵助くんの髪、お花のにおーい。」


「ちょっと、タカ丸さんっ、くすぐったい。」


タカ丸は兵助の髪に顔を埋め、次第に顔が首筋に辿りつく。



肌に馴染むタカ丸さんの唇に、心地よささえ感じてしまう。

これはきっとこの春の気候のせいだ。


「すきだよぉー、へーすけくん。」


耳元でささやく


「もう何回も聞いた。」


「何回言っても足りることなんてないよー。」




「俺も・・・何回聞いてもいいかなって、最近思うようになった・・かな。」



小さな声で呟いた兵助の言葉をタカ丸は聞き逃さなかった。




「ねぇ、コッチ向こう?今へーすけくんの顔すごく見たい。」


タカ丸は優しく兵助の顔を自分の方へ向けさせる。

両手で隠した兵助の顔は、確かに赤かった。


「そう言う時のタカ丸さん、ずるい。」


「うん、俺ねーずるいし欲張りなんだぁ。」



言葉は柔らかいが、やはり年上だ。
本当は余裕なところも、大人なところも。




「あ、」


風でのってきた一輪の花が兵助の髪におちる



「綺麗な花だね。へーすけくんの黒い髪に良く似合う。」



タカ丸は兵助の髪を掻き上げ、花をつけ直した。



「春の・・」



「ん?」


「春のおくりもの。」



淡い桃色の花、


2人の心に咲く

枯れることを知らない花

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