REBORN
□ブルー レッド ダーク
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「うあっ!」
また何も無いところで転んでしまった。
こんな俺がマフィアのボスとか考えられないでしょ。
時々感じる自分の無力さ。
理由のない不安。
「ねぇ。」
不意に聞こえた背後からの声。
「!!」
「そんな所で座ってられると困るんだけど。」
そう綱吉の顔をのぞき込んだのは雲雀恭弥だった。
「ごっ、ごめんなさい。すぐどきます。」
まさか雲雀さんが後ろにいたなんて思わなかった・・・。
立ち上がるときに、ふと上を見上げた。
「あ、雲ってきた。」
今日はずっと晴れだったのに。
「曇り嫌いなのかい?」
「えっ、いや・・・昔はあまり好きじゃなくて。」
「昔?」
雲雀は空を見上げたまま視線だけを綱吉にうつした。
「・・・俺、曇り空って暗くて怖いと思ってました。」
雲雀は綱吉に視線をやったまま、次の言葉をまつ。
「でも、最近やっと気づいたんです。青い空を隠してしまう雲は、本当は泣き出しそうな空を包んでくれているってこと。」
少し驚いた顔をする雲雀。
「雲雀さんが教えてくれたんですよ。」
綱吉は自分の言葉に赤くなり、うつむく。
「今日は随分、おしゃべりなんだね。」
綱吉の髪に触れ、頭を撫でる。
「僕も青空は嫌いだったよ。」
雲雀の言葉に、綱吉の表情が暗くなる。
「昔は、ね。」
綱吉は顔を上げた。
「少しも濁らない青なんて、正直気持ち悪かった。
でも、赤くなったり、青くなったり、暗くなったり、ころころ表情が変わったと思えば、いつだって笑ってる。」
雲雀は微笑んでいた。
雲雀の髪に触れていた手が、いつの間にか綱吉の頬を触れていた。
その手は優しすぎて、くすぐったかった。
「強いんだか、弱いんだか分からないけど、いつだってまっすぐ澄んでいる。
これは綱吉に教えてもらった。」
すらりとした腕が綱吉を包んだ。
「俺、雲雀さんのこと、これからも見ていて良いですか?」
「怖いんじゃなかったの?」
雲雀の胸に顔を埋めた綱吉は、笑いながらいった。
「雲雀さん、大好きです。」
俺が落ち込んでいるとき、こうして自然とそばにいる。
言葉に出さなくても伝わる優しさ。
「知っているよ。綱吉。」
あなたに名前を呼ばれるだけで、俺の心は安らぐ。
「今、綱吉が感じていること、
分かるよ。」
「こんなに幸せだってことをですか?」
「こんなに幸せだってことをだよ。」
空と雲
明日も一緒に居れますように。