がらくた

□猫のきもち
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「今日も暑いね・・・。マオ」
そういってご主人様・・・椿は僕に言う・・・。
「ねぇマオ・・・外に出たいねぇ・・・」
そんな事言われても困る。
大体外に出たら椿は彼を見に行くだけなんだろう・・・。
そんなの・・・面白くない・・・。
椿がいなくなったら僕はどうなるの・・・?




猫のきもち

今日も椿はずっと外を見てる。
そして僕に語りかけてくるんだ・・・。
「どうしたらあの人に近けるかな?」
椿の幸せは僕の幸せ。
椿の笑顔が見るのがなによりも好きなのに・・・
どうしてだろう・・・あいつを連れてこれば椿は笑ってくれる筈なのに・・・
どうしてもあいつを連れてきたくないんだ・・・。

そして今日も僕はとぼけた振りをして椿の隣であいつを見るんだ。

次の日も次の日も

僕は椿の隣であいつを見る日常が当たり前になっていた。
椿は僕の隣であいつについて語りかけてくる。
僕は椿の話を聞きながら自分の目を限界まで見開いてはパシパシと目を閉じ、
凝視する。

なんだか今日は、元気が無さそうだ・・・。
あいつの声を聞き取ろうと必死に耳を立てて聞く。

飼い猫がなくなったみたいだ。

僕だったら絶対に独りぼっちにはしないのに・・・。

今日も僕はご主人の隣にいるよ?

明日も椿と一緒に君のことを見ているよ。

「ねぇマオ・・・お前は私を1人にしないよね?」

当たり前だよ。
これからもずっと椿の隣にいるよ。
ずっと隣で見ているよ・・・。
あいつのように1人にはさせないよ。


ずっとずっと・・・
僕は今日も椿の隣であいつを見ている。


この思いの名前なんかわからずに。


僕も人間だったら愛してもらえたかな?

僕だったら一生そばにいてあげたのに・・・。

僕は1人になんかしないよ・・・。


僕は今日も椿の隣。








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