短編

□酒は飲んでも呑まれるな
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「ぎゃああああああ」


太陽の光が窓から差し込み、鳥のさえずりが聞こえる。
そんな穏やかな朝のひとときに、とある家から大絶叫が響いた。
「どうしたんですかー昶君…」
その騒がしい目覚ましに白銀が目を擦りながら気だるげに起きると、昶は目を白黒させながら固まっている。
そしてワナワナと白銀を指差し、またしても叫んだ。

「な、なんでお前隣にしかも裸で寝てるんだ!?」
「おや、覚えていないんですか?」
白いシーツに身を包ませ、クスっと艶やかに笑みをこぼす。
「しかもなんで俺も裸なんだ!?」
自身の体を見てみれば、下着も何もつけていなく、肌には赤い跡がちりばめられていて、眩暈を覚える。
白銀はわざとらしく甘い溜め息をつきながら昶を抱き締め、耳元で囁いた。

「昨夜の昶君、とっても可愛かったですよー?『白銀大好き』とか『もっとして』とか「ああ黙れ黙れ黙れ!!!」
白銀の体を押しやってみの虫の如くモーフに包まる。言わずもがな顔は真っ赤で沸騰しているようだ。
段々脳が覚醒して思い出してきたのか、忌まわしい昨夜の記憶が蘇ってくる。
いつものプライドが剥がれ落ち、まるで別人になってしまった自分がおぞましい。
あれが自分の本音だった、なんて認めたくもない。


「これだったら、たまにはお酒も良いですねぇ」
「二度と飲まねえ!!」

(恥ずかしくて死にそう…。いやむしろ死ぬ…)







その後、洸と賢吾は、白銀からのお咎めが無しだったとか。






おしまい

2008.11.26
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