短編

□seven days
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「洸ーーーー!!!!!」



バリーンと勢いよく窓ガラスが割れる。
何事かと見上げた瞬間、馬乗りになっていた洸兄が吹っ飛ばされた。
「ふべ!!」
「昶君、大丈夫ですか!?変なことされませんでしたか!?」
「しろ、がね…?」
まさかの白銀の登場に、驚きで目を見開く。
白い顔を更に白くさせ抱き起こされると右手を左手で絡めとられ、久しぶりの体温に酷く安心した。
「白銀……」
「昶君、お願いです」
ふわりと抱き締められる。
「洸なんかを好きだなんて、言わないで下さい」

「オーイ。なんかとはなんだ〜」
突き飛ばされた洸兄が首を回しながら戻ってきた。
それに気付いて慌てて白銀の腕から逃げると、今回の原因を聞こうと胸倉を掴む。
「てか、なんで!その…」
「好きって言ってくれなくなったの?」
言葉に詰まって言いよどんでいたら、洸兄が代わりに答えてくる。
全く照れてるのが馬鹿みたいだ。
白銀はバツの悪そうな表情を浮かべた。

「押してみるなら引いてみろって言うじゃありませんか…。
ちょっと実践してみたくなったんです。だって昶君、全然ワタシに好きって言わないじゃないですか!」
「んなの、言える訳ねぇだろ!」
「洸には言ってたのに?」
ギラリと瞳が光る。
誤解だ、これは。
「それは…練習してたんだよ…」
「練習……?」
予想通り、怪訝な顔をされる。
これは絶対疑っている。
「あーあ、可愛かったなぁ〜アキの告白」
「…っ洸兄!」
「白銀と思ってやってごらんって言った途端、首まで真っ赤にさせちゃって。初々しいったら」
ないよ、と言い終わる前に思い切り白銀に吹っ飛ばされる。
また遠くへ星になってしまった。

「昶君…」
「あ?」
青い瞳がこちらを向いて、信じられないとでも言うかのように見開いている。
「洸の言ってることは、本当ですか?」
「………あぁ。」
「それじゃあ」

好きって言ってくれるんですか?

覗き込んできた白銀の表情はキラキラと期待に満ちていて、不覚にも可愛いと思ってしまった。
俺には勿体無い程に。

俺はコイツに好かれていて嬉しいと、しみじみ思う。




「…わぁったよ。言えば良いんだろ、言えば!シロガネ!ダイスキ!チョウアイシテル!」
「ちょ、棒読みすぎです!」







すまん、白銀。
もう少し、心の準備をください。







2008.11.13
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