短編

□悪癖がなおらない
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「はぁ、は…ぁ、ぁあっ」
体の中心を白銀の口でぐちゅぐちゅと奉仕される。
まるで女のような粘膜と喉の締め付けに恐ろしいほど感じてしまうが、しかしそれだけではない。
自分の竿を白銀が咥えているということにどうしようもないくらい心が騒ぐ。
見下ろすと彼は頭(こうべ)を垂れて、長い睫毛を伏せていた。

「―――…ッ!」

ズン、と走る衝動。
あ、やばいと思ったときには苦しそうに彼が喉を鳴らした。
「…っ、突然大きくなりましたね」
口に含んだまま喋るものだから、熱い吐息や艶のかかった低い声が下から伝わってくる。
やめろと抗議したいところだが舌の呂律(ろれつ)も回らずうまく喋れないし、結んだ唇から喘ぎが洩れた。
たまらなくて、首を反らし息を詰めることしか出来ない。

内股をさすられ持ち上げられる。
そのまま両足は白銀の両肩にまわり、碧眼と目が合った。

「お前マジ変態だな…」

この体制だと、普段自分ももちろん他人だって見ないような場所が全部見られてしまっている。
それに気付いて耳まで赤くなると、恥部からトロリと液が漏れた。

「その変態の手で感じてるのは誰ですか?」
正直、こんな体制は屈辱的すぎる。
しかし今更怒る気力なんて沸いてこない。


「……ッ……は、ぁ」
長い指が侵入してくる。
ぐるぐると中を掻き乱して、十分に入り口をほぐすと引き抜いた際に銀の糸が伸びた。
これから起こることに期待と少しの不安が胸を占める。でもやっぱり、期待のほうが大きくて、即物的な自分に思わず笑ってしまった。

(どんなに愛していても、体は正直だ。)

そんな昶に白銀は不思議そうに首をかしげるが、追求はしてこない。


「…早くしろよ」
「ほんとに男らしいですねぇ」
キミは、なんて耳元で囁いて、白銀のそれがあてがわれ覆いかぶさるように挿いる。
ぐぷ、と水音が響いた。
もう何回と及んだ行為に痛みのなかから快楽を拾うのは容易くて、白銀を体の奥まで受け入れる。

「―――…はぁ」


繋がった。





「白銀」




それを実感すると、不覚にも感動して胸がいっぱいになる。
手を高く伸ばして頬に触れる。
そして白くて華奢で、でも自分より大きな体をめいっぱい抱き締めて、キスを落とした。

この時だけ、俺は素直になれる。








悪癖がなおらない
(ねえ、もっとおれだけに曝けだしてよ)






2008.12.16 お題シュロ

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