☆小説☆

□■不文律 前編■
2ページ/2ページ

「例えばこのまま君と過ごしても…僕の本質は変わらない。君もそうでしょ」
「…変わる、かもしれねぇ…」
「獄寺?」
「オマエと逢う度に、もっとオマエと一緒にいたくなる。オマエに近づく度に、もっとオマエに触れたくなる。こんなんじゃ、オレはきっと…きっと…っ」
「…獄寺」

扉に縋るようにして初めて吐き出される心裡。

身の内から沸き上がる歓喜を抑えながら、目の前の首筋に鼻を擦り付けるようにして唇を寄せる。

「ひ、ば…」
「大丈夫。君がそんなに弱くないことは僕が知ってる」

抱いた腕に力を籠める。数秒の間を置いて獄寺の手がそれを掴んだのを感じる。

「それに君が君でなくなったら、僕が咬み殺してあげるから」

耳元で囁けば、忍び笑いに細い肩が震えた。

「…それだけは遠慮するぜ」
「なら、帰るのは止めなよ」

こくんと頷かれたのを機に、この日二度目の深いキスを交わした。


END


.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ