☆小説☆

□■理由 side H■
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未来の自分がどんな心境でそれを口にしたのかは正直分からない。(そもそもその人物が本当に自分だったかさえ定かではないと思っている。)

仮にそれを発したのが未来の自分だったとしても、今の自分が理解できる範疇は、今の自分が相手に「待つ」と告げる気持ちだけだった。


借りでも貸しでも構わない。それを理由に自分を意識するのなら何だっていい。
ただ理由がなくても手を伸ばし頼っていいんだと、彼に教えてやりたい。


そこに思い至って、自分の中に根付いていた気持ちをようやく確信した。

それ以来、小さな理由を積み重ねるのは止めようと決めた。

そうして彼だけが貸し借りをカウントしている状況が数ヶ月続いた頃…



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