☆小説☆
□■君と二人で■
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「む、骸…」
「…すみません。これでは僕の方が喜んでしまっていますね」
苦笑して、オッドアイが獄寺を見上げる。
「実は何を差し上げれば喜んで頂けるのか解らなくて、何もお持ちできなかったのです。何かしてさしあげたいのですが、ご希望はありますか?」
そう言う骸の眼差しは、とても優しくやわらかく、獄寺は胸をわしづかみにされたような気持ちになった。
「…む、くろ…」
「はい?」
『なんでそこまで?』なんて聞かなくてもコイツの気持ちは随分前に本人の口から聞かされて知っている。
そして、自分に向けられた特別な感情を完全には拒絶できず、最近はむしろ甘受しつつある状況で、こんな風にまた与えられてしまったら……わがままを言ってしまいたくなる。
「今日はこのままここにいろ」
「…良いのですか?」
「それから、俺が呼んだら絶対に来い」
「…貴方が僕を呼んでくれるのならば」
言い換えれば、骸の自由を奪うような内容であるのに、躊躇いもなく約束しましょう、と囁いて誓いの口づけが再び手に落とされる。
「あと…キスするんなら手は止めろ」
「それでは何処に?」
「オマエはそこまで頭の悪い奴じゃないだろ?」
わざと遠回しに言ってやれば、困惑した顔でベッドの上に戻ってきた。