☆小説☆

□■蛹2■
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−−−女の子だと知られちゃいけない。生き延びるにはそれしかない。


少年と見せ掛けても、似たような危険に巻き込まれかけたけど、女の子のままでいるよりはよっぽどマシだった。
そう信じて、ここまで来た。

けれど。

枕元に置いていた携帯を開き、一番最新の受信メールを開く。


『件名:
本文:今日は先に帰ってごめん。具合はどう?無理しないでちゃんと休んでね。また明日』


「10代目…」

保健室で目覚めて受信に気付いてから、何度読み返したことだろう。
読む度に心が温かくなる。こんな風に自分を温めてくれるのは、きっと世界中でこのお方しかいないと思う。

「10代目…」

ぎゅっと閉じた携帯を握りしめ、胸に抱く。

あちこちを放浪して数年後、信じられるファミリーに拾われ、命を賭けられるほどのボスにも出会えた今、性別を隠す必要はなくなったと分かってはいる。


しかし、ではどうやって切り出せばいいのだろう。いきなり明かせば、きっと驚くに違いない。
いや、驚くだけではなく、嘘をついていたのだとお怒りになるかもしれない。
怒られるだけならまだ耐えられる。しかし、

(…失望されたら、どうしよう…)

いらないと言われ、追い出されてしまったら?
もう自分にはどこにも行く場所がない。

『いつまでも変な意地張ってんじゃねーよ』

違うんだ、シャマル。言えないのは意地なんかじゃない。

「怖いんだ…」

零れた弱音は一人暮らし部屋に静かに広がり消えた。



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