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□どんなにきみがすきだかあててごらん
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ねえ、知ってる?


俺がどれだけ、お前のことが好きか。



ねえ、気づいてる?


俺がどれだけ、お前のことを大切に思ってるか。



ねえ、ちゃんと、わかって!









【どんなにきみがすきだかあててごらん】









「さかえぐち、だいすき」


その言葉とともに向けられる笑顔は、いつもてろんって表現が良く似合う。
はちみつみたい、優しい優しい目の色。
俺の瞼にくれるキスは、それと同じでひどく甘い。


「ほんとに、すき。だいすき」


知ってるよ、そんなこと。
だってそんな表情見せられちゃったら、分かるなっていうほうが難しいじゃないか。
きゅうと腕と指先に力込めて、俺のこと抱き締めて、髪に頬擦り。なんとなくムツゴロウさんを思い浮かべてしまったのは言わないでおこう。
でもそう、それくらい、水谷は俺のこと猫可愛がりするんだ。


「みずたに…」


少しだけ視線を投げ掛けて、袖口を引っ張る。ほんとは口にできたらいいけど、恥ずかしい、から。
そしたら俺の言いたいこと伝わったのか、嬉しそうに口唇にキスが降ってきた。


「……ん」


後頭部を優しく固定されて、角度を変えるように一度離れた口唇がまた近づく。
あまりに緩やかなそのスピードに耐えきれず、追いかけるように先に少し深く仕掛ければ、俺を抱く片腕が困ったようにぴく、と揺れた。


「っ、さかえぐち、もう」


ダメ、って。
少しだけ目元赤くして、へにょって眉下げて。

俺の今一番大きな悩みは、実は、これ。


水谷と付き合い出して、もうすぐ3ヶ月半。
秋の終わりに実った恋も、ほどよく落ち着きを見せて季節は冬。
2月の半ばの冷たい風も時折降る雪も、お前とくっつけるなら悪くないかななんて、恥ずかしくもそんなことを思ってしまう。そんな、空気。
なのに水谷はいつもそこまでで、それより先に進もうとはしない。
したくないんじゃないのは分かる。むしろ、必死に我慢してくれていることも。

初めて水谷とそういうことをしてから、もう一月が経とうとしていた。



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