おめでとうを君に
□来年の今日も
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先が見えなくても
先がどんなに困難な道でも
とりあえず来年の今日も一緒にいれたらいいと思う。
お前が手を引いてくれるなら
どこまでも行ける気がするんだ。
「花井!行くぞー!」
薄暗いグラウンド。
それを優しく照らす電気。
随分冷えてきた風。
ちょっと離れたところには今日一番の笑顔の田島。
「花井ー!明日は俺の誕生日だぞ!」
昨日、そう言って俺めがけて飛び込んできた田島は期待に満ちた目をしていて嫌な予感がした。
「何か欲しいもんあるか?」
ひっつくなと田島を引き剥がして聞くと、さらにキラキラと目を輝かす。
「花井が欲しい!」
「は…?」
「とりあえずさ、明日遊ぼう!明日はミーティングだけなんだろ?」
俺が練習してる河川敷に行こうぜ!って笑う田島にそんなんでいいのか?と思いながら約束をした。
「っはー!!疲れた!」
遊び疲れて二人して土手の草原に寝転ぶ。
日はとっくに暮れて夜空が広がっていた。
動き回って暑くなった体に秋の涼しい風が気持ちいい。
「あ、一番星!お願いしなきゃ!」
隣で空を指差してはしゃぐ田島を見ていると自然と優しい気持ちになれる。
でもそれと同時にいつまでこうして田島の隣にいれるのか、いつまでこうして田島が隣にいてくれるのか不安な気持ちもよぎる。
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