テキスト
□雨上がりの帰り道
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それから5日間、俺たちの生活は何も変わらずに過ぎた。
学校だってあるし、練習だってある。
泉や巣山と笑い合ったり、三橋や田島の世話に追われたり、花井と阿部と練習のメニューを真剣に考えたり、栄口はいつもと一緒で強いと思った。
それに比べて俺はあまりにも弱くて脆い。
笑い合える友達に戻ったはずなのに何だろう。
…寂しい?
あぁ、俺ってすげー勝手な奴だ。
別れて6日目、朝から曇り空が広がっていてあの日を思い出す。
まだ1週間も経ってないのに。
昼前にはとうとう雨が降り始めた。
窓側の席の俺は空を見上げる。
どんどん強くなる雨を見てると何だか胸が苦しくなって机に突っ伏して寝てしまおうと思った。
ザーっという雨音を聞きながら目を閉じる。
目を閉じて最初に浮かぶのはやっぱり栄口の顔。
「好きだよ」「ありがとう」「バカだなぁ」そう言って笑った栄口の顔が1番好きだった。
何だろう?
誰かに、何かに似てるんだ。
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