連載小説

□第二話 再会〜半蔵の苦悩〜
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「半蔵殿、他に買う物は?」
「…このくらいだな。兼続殿、少し茶屋で休まぬか?」
「それはいい!この間の話もじっくり聞かせていただきたいからな!」
「…;」

現在地、紀伊国。
立ち寄った町で旅に必要な物を買いそろえ、茶屋で団子を頬張りながらのんびりと茶をすすっている男が二人。
元々は一人だった筈なのだが、ついこの間の騒動(?)で旅の仲間が一人増えてしまい、戸惑っている男、半蔵と。
そんな相手の都合など一切考えず、ただ義の仲間を増やしたいが為に付いてきてしまった男、兼続。
こんな筈ではなかったのだが…と思っている半蔵を尻目に、
団子をもきゅもきゅと食べながら兼続は延々と義とは何か、愛とは何かを力説していた。

(拙者の話が聞きたいとか言っておきながらこの男は…;)

半蔵の旅の目的は二つある。
一つは傭兵として仕官先を探す事。
一応一通りの大名に味方している。今からどの大名に仕官するかを考えている最中である。
そしてもう一つは名刀探し。
ちなみにこちらはただの趣味である。
今のところ『九字兼定』という刀を商人から譲り受けたのみで、あと九つあるらしい。
どうせなら全部集めてみようと思ったようだ。

「で、半蔵殿。此度はどの大名の依頼を受けるのだ?」
「(唐突に話が始まるな…;)…まだ決めてはおらぬ」
「そうか、私は義の心を持っておられる大名をお薦めするぞ!!
…あ、名刀も集めているのだったな。そちらはどうする?」
「(義…;誰かは聞かないでおくか)とりあえず、町の人々に聞いて回ろうかと…」
「なら手分けして探した方が効率がいい。
 よし!大名の依頼に関しては私に任せてもらおうか!」
「…かたじけない。では夕方に、再びここで」
「承知した!気をつけるのだぞ!」

そう言って半蔵は兼続と一度別れた。
このとき半蔵は思いもしなかっただろう。
兼続と別行動をとった所為で、旅の仲間がまた一人増えることになるとは。




傭兵演舞〜旅は道連れ 世は情け〜

第二話 再開〜半蔵の苦悩〜





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