連載小説
□第一話 民兵救出〜余計なものも付いてきた〜
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民の悲鳴が辺りに響き渡る。
逃げ惑う人々。
「おらおらぁ!金目のものよこせ!さもなくば殺すぞ!」
副頭目が刀を振り上げ一人の民兵に襲い掛かる。
その瞬間。
副頭目の首が飛ぶ。
「あ…あんたは…」
驚いた表情でその民兵が見た先には。
「逃げよ、ここは拙者が」
漆黒の美しい影の姿があった。
「な、何だてめぇは!!い、痛い目見てぇのかっ!?」
今しがた斬られた副頭目の仲間であろう下っ端が駆けつけてきてのその忍の周りを取り囲む。
忍は何も答えない。代わりに持っていた鎖鎌を振り回し数人の下っ端達の腕や足を掻き切った。
それと同時に攻撃を免れた者達を睨み付ける。
「…滅」
その瞳が放つすさまじい殺気に怖気づいた下っ端達は一斉に逃げ出した。
「…に、逃げろ!こいつ強えぇ!!」
残されたのは漆黒の忍と、数人の民兵のみ。
辺りに盗賊達が居なくなると、忍は民兵の方を向いた。
その瞳は、先程とは打って変わって優しげだった。
「…怪我はないか」
「あ、ありがとうごぜぇます!!おかげで怪我はねぇです!」
「…そうか、よかった」
「是非お礼がしてぇです!あんた、名は?」
「…服部半蔵。礼などかまわぬ」
傭兵演舞〜旅は道連れ、世は情け〜
第一話 民兵救出〜余計なものが付いてきた〜
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