連載小説
□第一話 民兵救出〜余計なものも付いてきた〜
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「本当にありがとうごぜぇました。少ねぇんだけども受け取って下せぇ」
「…そんな、かまわぬと言うておるのに」
「いやいや、おらたちの村を救って下すったお方に礼をしないのは罰が当たっちまう。
どうぞ、受け取って下せぇ」
「…む;」
半ば押し付けられるような形で半蔵は玉を受け取った。
別に玉が欲しくて助けたわけではないのだが…と半蔵は内心で溜息をついた。
(まぁ、よいか)
「…かたじけない、謝す」
そう言って、その村を後にした。
…のだが、物事というのはいつでもうまくいくものではないようで。
武器の強化にと万屋に行く道中。
己に向けられる殺気に立ち止まる。
(…つけられている、それも大人数)
立ち止まり、近くの草むらに鎖鎌を投げつけた。
隠れていたのであろう男が草むらから姿を見せ、
それと同時に辺りから一斉に飛び出してきたのは。
(先程の、盗賊か)
「へぇ…部下に聞いたんだが…おめぇ、中々やるみてぇだな」
口を開いたのは恐らく、先程の盗賊の頭。
「…何用」
「決まってんじゃねぇか…。俺の可愛い部下があんたに世話になったみてぇでなぁ。
今度はこの俺が直々にその礼をしに来たわけよ…」
「それはご苦労な事」
「そういうわけだ。野郎共、やっちまいな!!」
頭目の掛け声と同時に一気に襲い掛かる下っ端。
別に逃げても構わなかったのだが、これから行く町を騒動に巻き込むわけにはいかない。
「…滅却」
鎖鎌を構え、空に舞い上がった。
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