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□初恋の味
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オレの初恋は3歳のときだった。

保育園の友達でも先生でもなくて。
近所の子でも親戚でもなくて。
にーちゃんやねーちゃんの友達でもなくて。

たまたま、本当に偶然出会った女の子だった。

「おまえ、なにしてんの?」

じーちゃんに連れられて行った川原に、大きな麦藁帽をかぶった同い年くらいの子が座って地面をいじっていた。

「え…う、あの…」

答えたその声は掠れていて、自信なさげに瞳がゆらゆらと揺れる。

「なに、してんの?」

自分にしてはやさしくゆっくり話した。

「あの、ね、ここにカニさんがいるって、ままが」

その子はにっこり笑って答えた。
その顔がやけに無防備で、可愛らしくて。

胸のあたりがドキッとしたのを今でも覚えている。

 
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