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□ばかだね、おめーは
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おつきあい、しているやつがいる。
にひひ、と思わず笑みがこぼれた。
「田島、何笑ってんの?気持ちわりー」
同じクラスの泉が大して興味もなさそうにつぶやく。
今は休憩時間。
数学の授業で疲れた脳みそを休めている。
「きもちわりー?そっか、そっか」
今ならどんな厭味でもどんな悪口だって耐えられる。
だって、だって。
「マジでおかしーよ、お前。
大丈夫か?」
「た、田島くん…びょ、びょうき?」
三橋まで心配して声をかけてくる始末。
病気なんかじゃない。
おれは
「恋してるだけだもーん」
自分で言って思わずにやけてしまう。
ずっとずっと好きだった、
ずっとずっと大好きだった、
花井とおつきあい、しているんだから。