59

□あんはっぴー?ばれんたいん
2ページ/9ページ

「んー?オレ?オレかぁ…なぁなぁ、花井は?」
アンダーシャツを脱ぎながら平然と田島は言った。
びくり、と体を揺らす恋人。
そんなにこの話がイヤか?
女子の手伝いをしていたのは、オレが必要ないからか?
花井の姿を見つめる。
どくん、どくん。
脈打つ心臓は答えを聞くまで収まりそうになかった。
「俺?俺は、六個かな」
「マジかよ、いいな〜。俺なんて三個だぜ、三個」
は?六個?
そんなにもらったのかよ。
朝からオレのこと無視して、だれかとそんなに楽しく過ごしたのかよ。
頭がくらくらする。

お前にとって、オレは何なんだ?
本当に、恋人、なのか?

おれはねぇ、
俺は、
オレ、
と勢いよく全員が話し出してくれたおかげで、田島の異変はだれにも気付かれなかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ