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□はっぴー、ばれんたいん
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田島と付き合いだして今日が初めてのバレンタインデー。
もちろん花井もチョコレートを用意していた。
でも、一日中タイミングを逃しまくって、今に至るのだ。
そのチョコは出番はまだか、とカバンの中で待機している。
「んー?オレ?オレかぁ…なぁなぁ、花井は?」
アンダーシャツを脱ぎながら田島が言った。
田島の答えをドキドキしながら待っていた花井は、突然自分に振られてビクッとした。
皆の視線が自分に集まる。
何事もなかったかのように冷静を装って
「俺?俺は、六個かな」
「マジかよ、いいな~。俺なんて三個だぜ、三個」
水谷がぶーぶーと鼻を鳴らす。
おれはねぇ、
俺は、
オレ、
と勢いよく全員が話し出す。
花井の事などもう頭にないようだ。
よかった
ホッと小さくため息をついた。
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