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□あんはっぴー?ばれんたいん
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「なぁなぁ、今日バレンタインデーだっただろ?!お前らチョコ何個もらった?」
部活が終わったと同時に水谷が話し出す。
田島はちらっと自分の恋人を確認する。
朝から何回もオレのとこにやってきては、女子の手伝いをしてた恋人。
「俺は一個」
さらりと阿部が言う。
羨ましい。三橋と同じクラスである田島は、朝から彼が恋人にチョコを渡すのを知っていた。
オレの恋人はまだだっつーの。
「アーレー?お前、たくさん呼び出しとかあったじゃんよ。
下駄箱にだってたくさん詰め込まれてただろ?」
水谷が余計なことを言う。
幸せそうに阿部が三橋の頭をなでた。
羨ましい。
自分の恋人はと言えば、黙々と着替えている。
こっちは朝からお前が来る度に用意してきたもの渡そうとしたんだぞ。
心の中で悪態をついていると、
耳まで赤く染めた三橋に話を振られた。
「…あ、あのッ…た、じまくん、は?」
少し驚いたが、これは自分の恋人の気持ちを知るいいチャンスかも知れない。
そう思って、田島は口を開いた。
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