過去の世界
□九代目拍手
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きよしこの夜
星は煌めき
「銀ちゃんッ、もうすぐクリスマスアル!」
イルミネーションできらびやかに飾られた街を見て、神楽ははしゃぎながら言った。
それに銀時はけだるそうに答える。
「そーですね」
「何アルか、そのい●ともみたいな返事は!」
「そーですね」
「もう銀さん、意地悪しないの。神楽ちゃんはパーティーしたいんですよ」
今日は三人で仲良く並んでお買い物。
そろそろ年末という事もあって、あちこちの店ではセールを行っているから、貧乏な万事屋はこの時期に大量に買い込んでおくのだ。
「私、ケーキとかチキンとか食べたいネ!」
「うちはキリスト教じゃないからパーティーはやりません」
面倒臭そうに、銀時は言った。
キリスト教とかの前に、お金がないからパーティーが出来ないのだ。
銀時だって、本当はケーキとか食べたい。
「よっちゃん家はツリー飾ってパーティーするって言ってたヨ」
「ウチはウチ!ヨソはヨソ!つか、家にツリーすらないだろ」
銀時の言葉に神楽は頬を膨らませた。
すると、見兼ねた新八が口を開く。
「じゃあ神楽ちゃん、クリスマスは僕ん家おいでよ。パーティーするから」
それを聞いた神楽は、キラキラと目を輝かせた。
「本当アルか!?」
「うん。ウチにはツリーもあるし、ケーキも作ってあげる」
「キャッホォイィィィィィィィ!」
喜ぶ神楽の姿を見て、新八は微笑む。
すると、銀時が新八の頬をつっついてきた。
「何ですか、銀さん」
「…俺も食べたい、んだけど」
だって、新八の手作りだし。
すると新八は呆れ顔で、
「銀さん、パーティーしないって言ったじゃないですか」
「う…」
言い返せない銀時は、うなだれる。数分前の自分が憎たらしい。
でも、一人のクリスマスには慣れている。
―――今までずっと独りだったから。
「…銀さん」
「何」
「どうしても来たいなら良いですよ」
笑顔で言う新八。
嗚呼、お前と出逢ってしまったから―――
「…行く」
「じゃあ沢山、料理作りますからね」
またふわり、と笑う新八につられて銀時も微笑む。
―――独りが苦手になったじゃないか。
ふと、空を見上げれば白い雪が舞い降りて。
「初雪だな…」
今年はホワイトクリスマスになりそうだ。