過去の世界

□五代目拍手
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新八Side



ふと目が覚めると、隣に貴方がいる。
僕は貴方を起こさないように、そっと布団を抜け出し台所に立つ。
エプロンを身につけて、手を洗って、朝食の準備を始める。
昨日、食べたいと言っていたジャガイモの味噌汁と、ハムエッグ。それからお米を炊く。
あとは、夜漬けておいた漬物を切って、皿に盛る。
全ての準備が出来たら、家中のカーテンを開けて朝日で部屋をいっぱいにする。
そして、押し入れの中で寝ている少女を起こし、白くて大きな犬に餌をやる。

最後に、自分の隣で寝ていた雇い主の元へ向かう。
優しく体を揺すって起こすと、すぐ目を開ける貴方。
頼んでもないのに、唇を寄せたりして。
僕はそれに答えて。

それから、みんなで朝食を食べる。
他の二人がおかずを取り合うのを見て僕は笑ったり。
それにつられて、全員が笑顔になって。

嗚呼、幸せだなと思う。
でも“幸せ”だと口にしてしまうと壊れてしまいそうで。
だから僕は、この幸せが永遠に続くように願いながら、心の中で“幸せ”だと叫ぶんだ。
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