BASARA@
□ババロア
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とある高校の校門前で、携帯を弄りながら佐助は待ち合わせ時間まで時間を潰していた。時刻は丁度終業のチャイムが鳴ったくらい。校門を通り抜けていく殆どの生徒が佐助に一度は視線を送った。異様に目立つオレンジ色の髪の毛もさながら、整ったルックスをしているため当然と言えば当然である。それに、佐助はこの高校の生徒ではない。所謂、他校生徒の「待ち伏せ」行為であった。
「ごめん、佐助。待った?」
はあはあと息を切らせて走ってきたのは、長い髪の毛を高い位置で結った慶次である。きっと教室から猛ダッシュでここまで来たのだろう。熱く湿っぽくなってきた季節、慶次の首筋が若干湿っているように見えた。
佐助は弄っていた携帯を畳んでポケットに突っ込み、慶次に向き直った。意地悪く笑っている。
「待った、すげー待った。超待った」
「ごめんって」
「俺様待ちすぎて冬眠しそうになったんだけど」
「今、冬じゃないけど」
「…そういう突っ込みを返すわけ?」
くすくす、二人一緒になって笑う。イケメン二人が楽しそうに笑いあっている姿は女生徒にとってかなりの眼福だったが、本人達は何も意識していない。
「じゃあ、今日はダッツ奢ってあげるよ」
「え、嘘マジ?」
「一種類だけね」
「ええー」
慶次が先に歩き出し、それを慌てたように佐助が追いかける。追いかけなくても慶次は待っていてくれるが、佐助はいつも何となく小走りになってしまう。
高校横の線路沿いに歩いて駅に辿り着き、電車に乗って二人はにぎやかな「街」へ繰り出した。