オリジナル作品

□愚かだった者達
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―――序章





人は、どこまでも愚かである。
相手を思いやることなどなく、それどころか、蹂躙し全てを奪おうとする。
その様は、もはや人ではなく悪鬼と呼べるものだろう。

その愚かさが、また次の人に憎しみを植え付け、再び愚か者――愚者――が現れる。
だが、悲しき連鎖を断ち切り、憎しみの心を乗り越えた者がいる。
それは、賢者と呼ばれた。

―――そう、この世界は、賢者と愚者の二つに分断されている。

そして、二つの種が存在する世界に、百年に一度、ただ一つだけの奇跡の形が顕現する。
それこそが―――『天器』。

天器は、賢者、愚者の隔たり、区別、全てを取り払い、それからの半世紀を安泰に過ごすことが出来るという、平和をもたらすものである。
その効果があったからこそ、今でも世界は滅びていないと言えるだろう。
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