クロスオーバー

□Fate/ゼロ
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―――トリステイン魔法学院。
ハルケギニア大陸の中、数多有る国の一つ、トリステイン最大の魔法学院である。
そこでは、二年生に進級するための『春の使い魔召喚の儀式』が行われていた。

だが、他の生徒達が順調に使い魔を召喚していく中、ただ一人が、失敗を続けていた。
高名な貴族、ヴァリエール家の息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールである。

彼女は、失敗を重ねに重ね、今回で十六回目を迎えてしまった。
その失敗の形も酷いもので、魔法を唱える度に、爆発を起こしているのである。
周りの罵声や、反対の言葉を押し切り、彼女は、十七回目の召喚に臨んだ。
彼女―――ルイズは、杖を掲げる。
その一回に集中し、全身全霊をかけて、心で念じる。
そして、思いを言葉に紡ぐ。

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

だが、結果は悲惨だった。
今までで最大の爆発が起こり、周りの生徒が一人巻き込まれて、黒コゲになっていた。

ルイズは膝を付いた。
これまでの努力は報われなかった。その事実に、涙が出そうになった。
その時、周りが少しざわついた。

「お、おい、何か動いてるぞ!」
「あのルイズが成功したのか!!?」

成功した!?
期待に胸を膨らませ、顔を上げた。
確かに、砂煙の向こうに、うっすらと何かの影が見えた。
上手くいった。
その喜びに、少しだけルイズは破顔した。
―――が、砂煙が晴れたとき、ルイズの時が、数瞬止まった。

「………ん、痛たたた……。何なんですかぁ…もう…」

そこにいたのは、竜でも、幻獣でも何でもない、人間の少年だった―――



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