腐向け

□恋愛ゲーム
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「源田、俺と賭けをしないか?」

 卒業式まであと二週間。受験も終わって、志望校にも無事合格…というより、俺はそのままエスカレーターで帝国学園高校に進学が決まった。卒業遠足も間近に控えているけれど、殆どのやつらは上にあがるだけだから卒業なんて実感はないに等しい。

 ―ただ、源田だけは違った。
 帝国だけじゃなく、色んなところでサッカーをしてみたい、色々な人と出会って、もっと自分を高めたい。
 奴はそういった。

 正直、もったいないと思った。

 わざわざ電車で二時間もかけて県のはずれの高校に通うらしい。帝国にいれば、いままでどおり、やれるのに。
 しかも、その学校は帝国よりレベルが低い。普通、より強い高校に行くと思うんだけどな…わざわざそんな高校に行く理由が、残念だが俺にはこれっぽっちも分からない。というか、分かりたくない。

 しかも、片道二時間もかけて学校に通ってたら、俺とも会えなくなるんじゃないか。
 そのまま、自然消滅してしまうんじゃないか。

 それが怖くて、つい、賭け…なんて言った。源田は、頭にはてなを浮かべつつ、どんな賭けだ?なーんてのんきに笑顔で言ってる。俺が今から何を言うのか、分からない、知らないことが幸せだって思わせるような笑顔だった。

 ―でも、俺は、

「明日から卒業式まで、一言も話さないようにしよう。俺のことが本当に好きなら、話さないでくれ。もし、一言でも話しかけてきたら、その時は…別れる。」

 自分を守るのに必死だった。

 もし、高校生になって殆ど話せなくても、会えなくても、大丈夫なように今からちゃんと慣れておかなきゃいけないんだ。
 じゃないと、どうにかなってしまいそうだから。

「なんだそれ、簡単じゃないか。じゃあ、もし卒業式まで話さなかったら、俺のいうことをなんでも一つ聞いてくれ。」

 "なんでも"という言葉がひっかかったが、断る理由が見つからなかったのでしぶしぶ頷くと、よし!約束だぞ!なんて言いながら、屈託のない笑顔を見せた。ああ、眩しい。

 その後は、たわいもない話をしたり、DVDを見たり、普通に過ごした。
 日付が変わる直前まで電話もして、さあ寝ようと思ったその時、携帯から聞き慣れた着信音が。

「…ばーか。お前は一休か。」

 新着メールには、卒業式まで話せないけど、書くのはダメなんて言ってなかっただろう?話せないぶん、たくさんメールしよう。なんて書いてあった。
 もちろん、差出人は―




(それで、俺のお願いっていうのが…)
(キモイキモイキモイ!俺は女装なんかしない!うわ、何だその服!趣味悪っ!!)


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