腐向け
□トモダチ以上、コイビト未満
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「かーぜーまるっ!!」
その言葉と同時に、背中に衝撃とかすかな重みを感じた。
そして、手に持っていたコーヒー牛乳は空中に飛び散り、新作のロイヤル抹茶フレーバーは、無惨にもボロボロになってしまった。
「はよっ!風丸!」
そう言って、円堂は満面の笑みを向けた。
「…風丸?」
不思議そうな表情で、円堂が風丸の顔を覗き込む。
すると彼の表情はみるみるうちに黒く恐ろしく変化していき、幼馴染みの円堂でさえも、この時ばかりは少し恐怖感を抱いてしまった。
「…こ、ごらああああ!!円堂おおおおおーーーっ!!何度言ったら分かるんだ!人の食べ物をめちゃくちゃにしちゃダメだって!!」
「えー…、だって風丸がいたから」
「俺がいたからって飛び付いていい理由にはならないだろ!まったく円堂は…」
「…風丸は、俺のこと嫌い?」
「…え?」
突然の質問に、若干戸惑った。
だって、いつもの円堂なら「え?ああごめんごめん!」って言うはずだ。
それに、《俺のこと嫌い?》って!なんだ?どういう意味なのだろう、妙に胸がもやもやする。
「いや、嫌いな訳じゃないけど…」
風丸が少し顔を赤らめて、視線を足元にずらしながら呟くと、そうか!!ならよかったっ!!じゃあ俺先行くから、後でなー!!と、いつもの笑顔で、学校へと走って行ってしまった。
どうしたのだろう、俺は頭がおかしいのだろうか。
さっき、悲しい顔をした円堂のことを、不覚にも子犬みたいで可愛い、と思ってしまうだなんて!
トモダチ以上
コイビト未満
(このキモチは、まだ、秘密。)
⇒あとがきんちょ