お題

□4.どうしてこんなに胸が苦しいんだろう
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放課後の図書館。
オレンジ色に染まった空
そのオレンジ色に染まった机の上に腰掛ける。
普段、本なんて全く読まないがこの静かな場所で時々ここに来る
ここは、なんか居心地がよかったりする。
手紙書くときにはちょうどいいから
今は、人もまばらで、外からは部活に励んでる生徒の声が聞こえる




手に持っていたレターセットを一枚の便箋を取り、筆箱から書く物を取り出す



『何書こう……』



にらめっこしながら、何書こうか迷ってしまう。
向こうでは、元気にしてますか?
大学での勉強は順調ですか?




いつも同じ事しか思いつかない。
だって、返事の無い一方通行で
私が、勝手に出し続けてる
最初はきっと忙しいんだろうって思ってた。
慣れない土地、誰も頼る人がいない異国の地で一人なのだから。
勉強の為に行っているんだ。遊びじゃない。
それに、きっと返事が出せないくらいに勉強に追われてるかもしれないだし。


そう、自分に言い聞かせてた。
いいんだ。これで。


でも、まもちゃんからは全く来ない返事。
それでも、書き続ける
無駄なのかも知れない

迷惑かもしれないのに、書いてしまう。


忙しいのは分かってるけど、一度くらい連絡くれたっていいのに


そう思う事だってある。
頭では解ってるつもりでも、心は違う。



(ずっと、待ってるんだよ。………まもちゃん)


手紙を書くのをワクワクしていた気持ちはいつしか変わっていた。
最初の頃とは違う違和感。
始めは、すらすらと書けた文章。
書きたいことが山ほどあった。
だから、書きたいことが一枚に収まらなくて、二枚、三枚と増えちゃって
海外に送るからお金だってかかるんだってことに後から気付いて、急いでいらない部分を消していったっけ。
でも、ここは聞きたいし、ここ消したくないって思って結局3枚になって
郵便局にいったら普通の手紙を送る料金の倍のお金がかかった。


今、思い返しても今とは違うなと思い知らされる。


明らかに違う。
書いている文章が在り来たりな事に気付いたのはいつからだろう?

書いてから気付く
前と一緒の始まりと終わり。
本当はもっと書くことだってある筈なのに
いつの間にか一緒になる文面



楽しくない、楽しくない、


そう思うようになってから、手紙を書くのがだんだん辛くなっていた。



やっぱり返事が欲しい。
どんな些細なことでもいいのに
今してること、何をしてるのか
元気にしてるのとか
ちょっとでもいい

どうしてるのか知りたいだけなのに……


なのに





頭を机の上に乗せてぼんやりと外の夕日を眺める。


一年ってあっという間って思ったのに
一年は12ヶ月。365日。
足りないっていつも思ってたのにこのときばかりは長く感じてしまう、時間の流れや月日。


やぱり一年は長い。



こうしてぼんやり夕日を見てるとなんだか無性に悲しくなってきた。
あのオレンジ色に染まった夕日うを見ると無性に、こらえてた思いが溢れてくる。


逢いたい
けど、逢えないから



アメリカは遠すぎる










遠すぎたね……
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