薔薇のマリア

□今日も空は澄んでいるから
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「…トーマートー!」

「む?」





トマトは、バカだ。
バカで、バカすぎて、呆れるってもんじゃない。

あたしがそれっぽい雰囲気出してるのに、本人は全く自覚がないようだ。
もう何を言っても無駄な気がする。
トマトは無敵だから。


もう知らないんだ。
トマトなんか、トマトなんか、潰れてあのちょっと酸っぱい液体撒き散らしてればいいんだ!
そうしたらあたしが美味しく頂いちゃうし。



…ってそうじゃなくて。










「トマトのバカ!あたしの気持ちにばっかり気づいてくれないじゃん!」

「そう言われてもな…俺が何かした覚えはないのだが」

「もうっ!」






もう知らないんだから!
トマトなんか、トマトクンなんか…












「―何でそっちのマカロン食べたわけ!?別に紫の方でいいじゃん!なんで黄緑の方食べちゃったの…」

「別に、どっちでも変わらんだろう」

「変わるよ!
あぁー、楽しみにしてたのに食べたことなかったのに黄緑…」

「ならこれを食べたらどうだ?“噛む度に味が変わる朱色(あかいろ)の何か”」

「嫌だ絶対要らない」







はぁ。
ほんと、トマトクン訳分かんない。
何だよ“噛む度に味が変わる朱色の何か”って。



悔しくなったから右頬を思いっきりつねってやった。
そしたら『…ん?痒いな』と。何の疑いようもない瞳で。






やっぱり悔しい。
トマトクンなんてもう知らない!

















今日も空は澄んでいるから
(今日はメロンパン食べたでしょあたしのメロンパン!)
(そうなのか。てっきり噛む度に味が変わる朱色の何かかと思っていたが)
(メロンパン赤くないから!)

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