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□現実は嘘つかず
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私には信じられなかった。
何が起きているのか私にはわからなかった。
どうしてこうなったのか、私にはわからない。
現実は嘘つかず
目の前に横たわる姿はとっても頼りなくて。
いつもの面影は消えていた。
どうして。
どうして。
信じられなくて。
ただじっと見ていることしか出来なくて。
座り込んだ私の身体は震えている。
声を押し殺して泣く。
なんで。
なんでなんだ。
回りに群がる人たちが憎らしい。
生きる術を失った。
そう思った。
何も考えられない。
ただ横たわる姿を見つめながら泣いた。
徐々に涙は枯れ、泣けなくなった。
あまりに信じることができなくて。
私のせいだ。
巻き込んだから。
きっと私が殺したんだ。
あなたがいないのなら私も存在しなくていい。
もう何もいらない。
伝えていない事だってたくさんある。