trickbook
□夢のまた夢
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あなたがいなくなったら
刺激が多かった毎日も
きっとまたなんの変鉄もない毎日に戻っちゃうんだ
夢のまた夢
ある朝、息を切らしながら目が覚める。
もう季節は秋に変わり、冷たい風が頬を撫でた。
いつもの装いで家を出て、今日はとある場所へ向かった。
入り口にいる警備員とはもう顔見知りだ。
小さく挨拶すると後ろから話しかけられた。
「上田先生なら外に出てるよ」
「……そうですか」
仕方なく引き返すことにした。
大して大きくない大学の近くには一風変わっておしゃれな道が並び、そのうちのとあるレトロな喫茶店から男性が一人出てきた。
その人物はとてもおしゃれでどこかのお偉いさんなのかもしれない。
人を見下しそうないやらしい笑みが印象的だった。
その人は高級車に乗り込んでその場を後にした。
「……?」
小さくため息をついて再び歩き出すと今度は同じ喫茶店から見慣れた人物が出てきた。
「あ」
「ん?……山田?YOU、こんなところで何してるんだ」
相変わらず長身で、今日は少しきちっとした服を着て、髪型も整えている。
「上田さんに会いに行こうと思って大学に行った帰りです。でも丁度良かった」
「何かあったのか?」
「……」
「なんだよ」
少し言いづらそうにしている奈緒子を見つめるとなんだかいつもとは違う雰囲気を感じた。