trickbook
□現実は嘘つかず
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──…‥
『YOU』
声が聴こえる。
きっと幻聴だ。
もうこの世にいないのに。
きっとそれだけ大切な人だったのかもしれない。
『YOU』
まただ。
目を開ける。
違和感を感じた。
「あれ……」
「寝過ぎだぞ」
「……うえ…だ…?」
「……いつまで寝れば気が済むんだ」
なんで?
身体を起こすと、しゃがんで私を見る上田さんの顔が目の前にある。
「……なんで…」
「ん?」
「なんでいるんですか…?だってさっき」
「何の夢を見てたんだ」
嘘。嘘つき。
すごくリアルだった。
「夢?嘘だ。絶対夢なんかじゃない」
「相当リアルな夢を「違う。だって……」」
「…………全て夢だったんだ。忘れろ」
やっぱり夢じゃない。
「でもっ」
「YOU」
「……」
「夢だ」
「……死んだのかと…」
冷たくなってたじゃない。
頼りなかったじゃない。
いつもの怖い顔とか笑った顔じゃなかったじゃない。